よくよく考えてみると、おかしなものである。

一般的には思いが通じあって交際を始めて、最後には結婚…のはずなのに、あたしたちは結婚してから交際を始めて、最後には思いが通じあったと何もかも全て逆である。

「明日はお互いの両親に結婚式のことを報告して、それからドレスを決めて…」

招待状を書きながら朝比奈さんがスケジュールをブツブツと呟いていた。

ものすごいハードスケジュールだな…。

彼の横でスケジュールを聞いているあたしはめまいを感じた。

「あっ、指輪!」

朝比奈さんが思い出したと言うように叫んだので、
「字を間違えちゃったじゃないですか!」

あたしはバシッと彼の肩をたたいた。

「ごめんごめん、肝心なものを忘れてたことに気づいちゃって…」

たたかれた肩をさすりながら朝比奈さんは申し訳なさそうに苦笑いをした。