「早く小春ちゃんと夫婦になりたいんだ。

恋人のままと言うのは限界にも程があるから」

つまり、まだ挙式をしていないから関係が恋人のままだったと言う訳ですね。

あたしは朝比奈さんがそう言ったことに納得できた。

「もちろんですよ」

あたしは首を縦に振ってうなずいた。

「あたしも欣一さんと夫婦になりたいです」

「小春ちゃん」

朝比奈さんがあたしの名前を呼んで、あたしを抱きしめてきた。

そっと朝比奈さんの広い背中に両手を回したら、彼もあたしの背中に両手を回してくれた。

そんな小さなことが嬉しくて、あたしは朝比奈さんの腕の中で微笑んだ。

ずいぶんと時間がかかってしまったような気がするけれど、あたしたちは少しずつだけど夫婦になれているような気がした。