失敗した…。

しくじりをやった…。

洗面所でバシャバシャと顔を洗いながら、あたしは自己嫌悪にさいなまれていた。

朝比奈さんのことを知るための方法、そして夫婦へとステップアップするための方法として、あたしは彼の手伝いをすることをひらめいた。

それを行動に移したと言う訳だけど、
「情けない…」

濡れた顔をタオルで拭きながら、あたしは息を吐いた。

手伝いをするどころか、彼に準備を済ませろと言われてしまった。

着替えを終えて、髪をいつものようにまとめると、リビングに顔を出した。

朝比奈さんの言う通り、テーブルのうえには彼が作った彩り豊かな朝ご飯が並んでいた。

「食べようか」

朝比奈さんが言ったので、
「はい」

あたしは返事をして椅子に腰を下ろすと、朝ご飯を食べた。