片手に枕を持ってドアの前で緊張しているあたしは、どこからどう見ても変人だ。

「大丈夫に決まってるよ…。

変なことはしないって言ってたんだから…」

あたしは言い聞かせると、目の前のドアをたたいた。

コンコン

「どうぞ」

中から声が聞こえたことにホッとすると、ドアを開けた。

「いらっしゃい」

ベッドのうえに座っている朝比奈さんがあたしを見ていた。

彼の部屋に足を踏み入れるのは、2回目だ。

以前にも入ったことがあるはずなのに、恐ろしいくらいに緊張している。

「し、失礼します…」

あたしはそう言うと、部屋の中に足を踏み入れた。

「隣どうぞ」

朝比奈さんが自分の枕の横を指差した。

その空いたスペースに、あたしは自分の枕を置いた。