もちろん、辞める気なんてない。

どうせ半年も行かないうちに離婚するに決まっているんだから。

そう思っている間に、『ハッピーマン』の看板が見えてきた。

あそこがあたしがパートとして働いている職場だ。

駐輪場に自転車を止めると、裏口へと入った。

更衣室で着替えを済ませると、事務所に行ってタイムカードを押した。

「おはよう、田ノ下さん」

その声に視線を向けると、事務所から塩干部の主任の伊勢谷豊(イセヤユタカ)さんが出てきていた。

彼の手元に視線を向けると、某キャラクターのかまぼこが握られていた。

新商品の打ち込みをするために事務所へきていたみたいだ。

黒ぶち眼鏡がトレードマークの伊勢谷さんに、
「おはようございます」

あたしはあいさつを返した。