たった数日だけ朝比奈さんの家を留守にしていたと言うのに、そこに帰ってきたとたんにひどく懐かしい感覚を覚えた。

「紅茶いれようか?」

そう声をかけてきた朝比奈さんに、
「どうぞ」

あたしは水色の紙袋を彼に渡した。

「すぐに用意するから椅子に腰かけてよ」

朝比奈さんはそう言うと、キッチンの方に足を向かわせた。

先に自室に行って荷物の整理をすると、再びリビングへと戻った。

キッチンの方に視線を向けると、朝比奈さんは棚からマグカップを2つ取り出しているところだった。

あたしは椅子に腰を下ろすと、紅茶が運ばれてくるのを待った。

「お待たせ」

朝比奈さんの声と同時に、テーブルのうえにマグカップとポットが置かれた。

「本当はケーキがいいんだろうけど」

チョコレートとクッキーを置きながら朝比奈さんが言った。