――ジリリリリッ…!

鳴っている目覚まし時計に向かって手を伸ばして止めると、ベッドから出た。

一瞬だけ自分がどこにいるのかわからなかったが、すぐに理解した。

そうだ、結婚したから朝比奈さんと一緒に住むことになったんだった。

着ていたパジャマを脱ぐと、黒のスキニージーンズとTシャツに着替えた。

髪の毛を編み込んでヘアピンでとめると、
「よし、できた」

これで仕事に行く準備は完了だ。

カバンを持って部屋のドアを開けると、みそ汁のいい匂いがした。

リビングに顔を出すと、
「おはよう、小春ちゃん」

エプロン姿の朝比奈さんがキッチンから迎えてくれた。

「あ、おはようございます…」

あたしはあいさつを返すと、顔を洗うために洗面所の方へと足を向かわせた。