Leben〜紫陽花の強い覚悟〜

白い封筒の封の部分に紫陽花(アジサイ)のシールが貼ってある。


紫陽花のシールなんて貼るような人間は藤代しか居ない。


その場で手紙の封を開け、中を見る。




案の定差出人は藤代だった。


水原というフェローが自分の後輩であるということ。


近々ここに赴任して来るということ。


それらが書かれていた。




藤代がここに、ね。


これで話の合う人が1人増える。


面白くなりそう。


自然と口角が上がる。


「嬉しそうだね、なんて書いてあったの?」


イスに腰を下ろしながら興味深そうに尋ねる神崎。


「近々彼がここに赴任して来る」


「へーぇ、彼がね」


それを聞いて神崎も頬を緩める。


「か、彼って誰ですか?」


「紫陽花のシールなんて貼ってあるからどんな子かとは思ってたけど。

彼なんだね」


「だから彼って誰なんです?」


「いずれ分かる。

それまで君がここに居ればだけど」


「俺は絶対に辞めません。

絶対フライトドクターになるんです!」


「口ではなんとでも言える」