「え、そうなんですか?」


「多分だけどね、大変だねぇ」


「そういう神崎先生はどうなんですか?」


「僕?僕はカルテ以外の書類はないよ。

そう言うの苦手だからね、神那ちゃんに任せきりなの」


「へー、そうなんですか。

こういう時書類をやってくれる便利な “ 機械 ” があれば良いと思うんですけどね」


冗談っぽく言った筈なのに一瞬でピリッとした空気に変わった。


「確かにそうかもね。

機械の方がよっぽど役に立つ。

ムダな感情なんて持ち合わせてないし」


書きかけの書類を残したまま、部屋を出て行く神那。



そしてしばらく沈黙が続く。


「何怒ってるんですかね?

俺何か変なこと言いました?」


「言ったよ、物凄くね」


「えぇ⁉︎」


「どんな意味合いであれ、神那ちゃんの前で機械なんて言葉を使っちゃダメでしょ」


「どうしてです?」


「はぁ…全く知らないんだね」


「何に対してですか?」


意味が分からず首を傾げる紫音。