「TAEは出来なかったから言われた通り貯留した血液は吸引して、クランプしたけどあくまでも応急処置。

バイタル80、呼吸数26、SpO2は酸素投与で100%。

瞳孔左右差なし」


患者をヘリから降ろし、処置室へ運ぶまでの道のりで患者情報を話す神崎。


これも時間短縮の為に我々が考え出したこと。


「移動させる。1、2、3!」


処置室へ着き、ストレッチャーから患者を移す。


「そのままオペ室運んで。

神崎アシストして」


「ん」


「俺も行きますっ」


「勝手にして」


すぐに手術着に着替え、オペが始まる。









「…終了」


ふぅ、と息を吐き出す。


使った手術着やゴム手袋を捨て、オペ室の外で念入りに手を洗う。


「ん、お疲れ様。神那ちゃん」


「お疲れ」


水道で神崎と会い、労いの言葉をかける。


「近藤の方はHCU、こっちはICUへ」


「はい」


オペ室に残っている看護師に伝え、ステーションへ戻る。