Leben〜紫陽花の強い覚悟〜

Piiii…。


PHSに連絡が入る。


画面を確認するとICUと表示されている。


つまりこれはドクターコール。


「ちょっと行って来る」


書きかけの書類をそのままにしてICUへ向かう。


「行ってらっしゃい」


笑顔で手を振る神崎。








「どうかした?」


ICUへ入り看護師に尋ねる。


「昨晩の西山さんですけど意識戻りました」


「分かった」


「おぉー、先生。

美人だねー、彼氏は?」


アルコールが残っているからなのか元からなのか、凄く面倒くさい。


「手を握ってみて」


患者の右手の上に自分の手を置き、確認を急ぐ。


相手が指示通りに出来るかどうかを確認するだけ。


「え、手繋ぐの?」


イライラする。


ギュッ…と握られる感触に、言葉に。


「じゃあ離して」


「えぇー、まだ繋いだばっかだよ?」


「良いから、さっさと離して」


まとわりつくこの感触が気持ち悪い。


吐き気がする。


渋々と言った様子で離した手をアルコールで念入りに拭く。


「バイタル、意識レベル問題なし。

一般病棟へ転科の手続きしておいて。

ベッドが空き次第移って貰うから」


そう指示し足早にICUをあとにする。


あんな酔っ払い、2度と御免だ。