Leben〜紫陽花の強い覚悟〜

「俺、さっきの方のところへ行って来ます。

ちゃんと話せばきっと分かってくれます!」


立ち止まったまま宣言するフェロー。


話せば分かってくれる、か。


「いちいち言わなくて良い、勝手にして」


「はいっ」


大きく頷き、踵を返す。


私には関係ないことだから。


席へ戻り、残りの書類を片づけて行く。


「ケンカでもしたの?水原ちゃんと」


机に頬杖をついている神崎。


「神崎には関係ない」


だから言う必要もない。


「昨日は大変だったみたいだね、高エネルギー外傷」


聞いてもムダだと悟り話題を変える神崎。


「運ばれて来た時には急変してたんでしょ?

目覚ました?」


「アルコールが入っている上に麻酔も入っているからまだかかりそう」


「神那ちゃん。

瑠璃ちゃんやっぱりね…」


声のトーンが落ちる。


「分かってる。

薬は痛みを取っているだけ。

悪化してるのは本人にも言ってある」


「まだ若いのにねぇ」


「知らない」


「…いい加減前を向いたらどうなの?

過去のことを引きずるのは良くないよ?神那ちゃん」


「神崎には関係ない」


「それもそうだね」