「お疲れ様です。

霜月先生、今日の当直よろしくお願いしますね」


次に入って来たのは藍色のユニホームに同じく首から聴診器を掛けている医師。


「分かってる」


「あなたがフェローね?

風の噂で聞いてるわ」


「水原紫音です、よろしくお願いします」


産婦人科の恵ゆかり。


腕はそれなり、人柄普通。


胸元辺りまでの茶髪を1つにまとめ、ハート型のネックレスをしている。


可もなく不可もなくと言った人物。




この病院には話の合う人間は少ない。


なぜならそれは皆現状に満足しているから。


探究心がまるでない。


「じゃあ僕は先に宿舎戻るね。

なんかあったら呼んで?」


イスから立ち上がり、大きく伸びをする神崎。


「お疲れっした」


「お疲れ様でした」


「お、お疲れ様でした」


「お疲れ。

極力呼ばないから」


「神那ちゃんの言葉は信頼出来るねぇ」


言葉に信用?


くだらない。