Leben〜紫陽花の強い覚悟〜

瑠璃を挟んで会話する。


「じゃあ神那先生が初なんですね?」


そんなキラキラした目で見られても迷惑。


「私1人じゃない、私と神崎。

初かどうかは確認してないから知らないけど」


わざわざ確認する程の興味はない。


「何かと仲良いんですね、神崎先生と」


「仲良くない、外科的相性が良いだけ」


「またまたぁ、素直じゃないんですね」


バカバカしい。


「でも神那先生は尊敬してるんだよね?

神崎先生のこと」


「間違ってはないけど間違ってる。

私が尊敬しているのは神崎の腕だけ。

私に足りない、手術速度と優れた耳のみ」


それ以外はただの医者としてしか見ていない。


女好きの医者としてしか。


「それ、どういうことですか?」


この人何も知らないんだった。


「救命で求められるのは処置のスピードと正確性。

処置のスピードでは私は神崎より劣っている。

耳というのは言葉の通り。

心臓の病気の約7割は聴診器と問診で聞き分けられるとされているの。

神崎にはその能力がある。

その能力は私にはまだない」


「やっぱり凄い人なんだ、神崎先生も。

いつもニコニコしてるから、なんか意外…」