Leben〜紫陽花の強い覚悟〜

ほどなくしてドアが開く。


現れたのはもちろん…。


「どうだった?神那ちゃん。

ICUの様子は」


神那先生だ。


「転落の佐々木さん、やっと意識戻った。

バイタル安定してるしあと数日で転科出来る」


「そっかー、戻ったんだ。

長かったね、3日だっけ?」





【転科】
担当する科が変わること。





転落ってさっきの高校生の子なのかな?


でも3日って…?


「瑠璃、体調はどう?」


具合の悪い時に見上げるのは辛いから、傍にあったパイプイスに腰掛け、目線を合わせて話す。


「今日は調子が良いよ」


「熱は?」


「ないよ」


「食事、ちゃんと摂れてる?」


「うーん、半分くらいなら」


食欲あんまりないんだよね、と頬を掻く。


「少しだけ点滴止めてみる?

まずは30分程度だけど」


「うん!」


て、点滴を外すって。


「大丈夫なんですか?そんなことして」


「余計な口挟まないで。

主治医は私。

道具持って来るから待ってて」


「はーい」


「本当に大丈夫なんですか?神崎先生。

食べれてないのに点滴外しちゃっても」


「いーのいーの。

神那ちゃんには神那ちゃんの考えがあるんだから」