「殺人犯って理由だけで患者を見捨てるのは認めないよ。

助けたい人を助けるのは、素人だって出来る。

それは僕らのような医者のすることじゃない。



医療の現場に私情を挟むな!



…的確な判断をして、 “ 助けられる命 ” を最大限助ける。

それが僕らのすることで、しなきゃいけないこと。

助けたい命じゃなく、助けられる命をね」


初めて見た。


神崎先生のこんな顔。


大声で怒鳴ったりしない分、遥かに迫力がある。


「思い浮かべてみてよ。

神那ちゃんならどっちを助けると思う?

感情で動くかな」


「いえ…。

確かに神那先生なら正しい判断をすると思います。

男性を優先させたと思います!




けど…。

けどそれは神那先生だから出来ることで…。

俺にはとても…。

怖いんです。

殺人犯を助けて、被害者から恨まれるのが」