「神那先生、今日来れますかね…?」


空席のままの隣にチラチラと視線を送る。


「来るよ。

神那ちゃんならきっとね」


「せやで。

神那さんはちゃんと身体治して来る人やから」


「おはよう」


「あ!

おはようございます、神那先生」


「おはようさん」


「おはよ、神那ちゃん」


「もう身体は大丈夫なんですか?」


「1日で治すって言った筈だけど。

ヤボなことは聞かないで」


「今日の担当は予定通りやで。

俺がヘリ担で神那さんはICU、純さんはHCU」


「分かった」


変更点はなし、と。



RRR…。


「はい、亜城西救命センター」


ヘリ担である藤代が受話器を取った。


『志方消防よりドクターヘリ要請です。

志方地区マンション3階より転落事故です。

患者は大杉一郎さん、80代男性。

バイタル70、血圧70の60、SpO2は80です』


「了解や、出動します。




ほな、俺行って来ます」


軽い口調とは反対に全速力で走り出した。