「ふぅ…参ったねぇ」


肩を重そうに回しながら入って来る神崎。


「お疲れ様です!神崎先生」


「おやぁ?

なんだか元気そうだね、出動のあとなのに。

さては何か良いことでもあったかな?」


「やっぱり分かっちゃいます?」


「わはは、当然。

だって水原ちゃん分かりやすいんだもん。

顔にも空気にも出やすい、嘘がつけないタイプかな」


「そうなんですよ。

隠しごとしてもいつもすぐにバレるんですよね」


「それで?

一体どんな良いことがあったの?」


「神那先生が名字で呼んでくれたんですよ!」


「へぇ…」


「呼んでない」


「呼びましたって。

ちゃんとこの耳で聞いたんですから」


「呼んでないって言ったら呼んでない。

くどいよ」


「そんなっ…」


「神那ちゃんツンツン。


たまにはデレてくれても良いのにね」


「デレる?」


分からない単語に首を傾げる。


「まだ分かんなくていーの」


何それ。