「神那さん、相変わらず女性蔑視の考えに敏感やなぁ」


小さくなっていく神那の後ろ姿を見つめる藤代。


「まぁね、仕方がないよ」


「女性で外科医ってやっぱり珍しいことなんですか?」


「まー、珍しいには変わりあらへんな。

珍しいし誹謗の対象になってる」


「え?」


「さっき神那さんが言うてたやろ?

女性だから、女性なのに、女性の癖に。

全部ホンマに言われてるんやで、他でもない男から」


「勿論神那ちゃんも例外じゃないの」


「そうなんですか?」


「外科医って血を見たり、切開・切断することが多いでしょ?

まぁ、それが主流なんだけど。

そんなのに耐えられるなんて図太い、とか。

ミスしたらやっぱり女性に外科医なんて無理、とか。

女を捨てたとか色々言われるの」


知らなかった。


命を扱う医療現場にそんな差別があったなんて。


「まぁ、神那ちゃんはそんなの全く気にしてなかったけどね」


「神那さんは強いからなぁ、ココロが。

経験も豊富やし技術も確か。

一緒に居るとホンマに勉強になる」