気まずいベンツが着いた先は郊外にある大きな倉庫付きのビルだった。
車を降りると倉庫の中からぞろぞろといかつい連中が出てきて一斉に挨拶をされた。
本当になんなのか訳が分からなかったが、自分の後に立つ黒髪の男に対するものだというのはわかった。
そいつはここにいる誰よりも王者というにふさわしいオーラをまとっていた。
黒髪はスタスタとビルへ入っていったが、私はどうしていいかわからなくて虎徹の方を見ると、虎徹は私に向かって手招きをする。
「おいで。仕事だよ。」
仕事?
お給料もらえんのかな!
喜んで倉庫の方へ向かうと、あちこちから声が聞こえてくる。
「今度の整備士くそ美人じゃん」
「やべえ、タイプだわ」
「おい、お前手出したら総長に殺されんぞ」
など、くちぐちに私のことを噂されている。

