「工具はそこに。」
と私の後ろを指さす。そこには私の愛しの工具たちがずらりと並んでいた。
わー、やばいテンションあがるーー!
「あと壊れてるとこってのは――」
「エンジンがきかねんだよ。」
いつの間に私の横にいたさっきの黒髪が割って入る。
「なおせるか?」
真っ直ぐに目を見られて多少とまどったが、整備工場の娘としてNOとは言えない。
「絶対なおす。」
そう言ってエンジン部分を解体してみる。
私が仕事している間ずっと黒髪はバイクではなく私を見ていた。
正直言って死にそうだ。イケメンにここまで見つめられる経験はなかったので汗が吹き出す。
あときっとこのバイクは黒髪のもので、失敗したら殺されるんだろうな、と仕事を受け入れたことを後悔しかけたとき、ふと声がふってくる。

