「ありがとう」「どうでした?」「妊娠・・・・・・・・してましたか?」

「うん」(頭の中でパチンコのフィーバーがかかるかのような錯覚に陥った)

「どうするんですか?」「まだ先輩、高校生ですよね」「うん」「産むんですか?」

「産みたい」「それでどうするんですか?」「司にはなんて?」

「産みたいって」

「納得するでしょうか?」「してもらわないと」

「先輩お母さんになるんですね」「うん」「そういうことになる」

(なんか他人事見たい)

(こんな時によく司平気でいられる無責任)

(なにやってんだろうあいつ)

だんだん自分のお人よしさと、ふがいなさに腹が立ってきた。

「とりあえず今日は帰りましょう」「ありがとうね」「本当にありがとう」「まだ目が真っ赤に貼れててかわいそうだった」

とぼとぼと道を歩きすがら、先輩はいろいろ話した。

どれだけ彼が好きだったか、ゴムなしでやらないでと何度も言ったけどつけてくれなかったことや。

今回のことで愛されてなかった、遊びだったって気づいたって・・


蓮見先輩かわいそうだった。

荒れてるのはわかるけど、ひどすぎるよね彼ちょっと。

まだ泣きじゃくってる先輩の方を抱いて、歩く道は少しだけ荷が重かった。

足取りも重く、なんだか学校までの道が100キロにも200キロにも感じた。