あ、莉桜。


おばちゃんが話をしている隙間から、チラッと莉桜の姿が見えた。

そして莉桜は、走っていった。


「莉桜っ!!」


あたしは、無我夢中で追いかけた。

が、足の速い莉桜に、なかなか追いつけない。


結局、追いついたのは莉桜の家の前。


莉桜が家の扉を開けるのと同時にあたしも一緒にしれ~っと、入ってやった。


これが俗に言う、不法侵入ってやつだ。

【良い子のみんなは、マネしないでね!】


「莉桜」


あたしがそう言うのと同時に莉桜は、声を上げながら泣き出した。


「うぅ、……うぁぁぁあああぁぁっ!!」

「……っ!莉桜……」


「何が冷たいよっ!私のせいで瑠奈が死んだのにっ!!私が瑠奈を殺したようなもんなのにっ!!みんなの前で……っ、みんなの前で、泣けるわけないじゃんっ!!」


莉桜……。


「莉桜、あたしのことは、いいんだよ?泣きたいときには、泣けばいいんだから……」


そう言って、莉桜の肩に手をおく。


が、


スルッ。


……え?あたし……え?

莉桜の体、すり抜けたっ!?


あ、あたし死んでるんだ。


だから触れない。

だから聞こえない。


だから……、見えてないんだ……。