君がくれた秋。






「なんで振っちゃったのー!?」

どこにいてもよく響く高い声に、周りのお客さんの目を気にした。私は飛田くんと出会ってから今日までのことを思い出せる範囲で話した。さっきの突然の告白も。

「付き合うとなると、話は別でしょ。」

「でもさ、つづは飛田くんのこと好きだよ。」

「どうして?」

「香奈には分かるよ。だってつづ、二週間以上も同じ本スクバに入れてる。いつもすぐ新しいの持ってくるのに、読めてないんだよ、その本。」

その本とは図書室で借りたものではなく、私が古本屋で買ってきたものだ。言われてから気付いたけど、確かにそう。全くと言っていいほど手を付けてなかった。

「本より気になってるものがあるってことなんじゃない?」

「そうかな。」

「そうだよ。つづは好きにならないようにしてる、飛田くんのこと。年下だからとか、適当に言い訳探して。それがもう好きってことなんだよ。」

何も言い返せない。この言葉を待っていた気さえする。わざわざ香奈に話したのも、本当は見つけて欲しかったのかもしれない。ずっと、素直になれない私を。



「返事、言い直してあげたら?」