放課後、さっそく秋を探しに歩いた。昔住んでいた団地の中に金木犀が咲いてる道があったのを覚えてる。十月に入ったし、さすがに咲いていてほしい。確かこの辺だった気がする。そう思っていると同じ制服を着た男の子がこちらに向かって歩いてくる。さらに、僕たちずっと前から友達でしたよね?みたいな、悪く言えば馴れ馴れしいトーンで話しかけてきた。
「あれ、いつも図書室に居ますよね?」
「居ますよ。」
思ってたより無愛想な声で答えてしまい、お互い第一印象はかなり悪いものになったと思う。
「名前は?」
「新垣鼓名。」
「つづな?変な名前。」
「よく言われる。」
けど、初対面の人に言われたのは初めて。
「俺は飛田智也。何してたの?」
私はこのよく分からない男に秋の写真を撮りたいこと、それで金木犀を探していることをなんとなく話してみた。
飛田くんは団地に住んでいるらしく帰り道だったみたいで聞くだけ聞いて帰って行ったし、私もなんか萎えちゃったから今日はもう帰ることにした。

