窓側の一番後ろ、神席とも呼ばれるこの席を私もとても気に入っていて、もう席替えなんてなくなってくれても良いと思ってる。




「つづ〜、また買ってきちゃった!」



そう言って香奈が差し出したのはぬいぐるみのストラップ。香奈はあらゆる点で高校三年生とは思えない。高い位置で結ばれたツインテールも、必要以上に明るいところも、何より、ぬいぐるみが大好きすぎる。”おそろい”も大好きで、よく私にも買ってきてくれた。今回はクリーム色のくまとうさぎ。見た目は違うけど同じ種類のもので、くまを私にくれた。



「もう付けるところないよ。」

「スクバがあるでしょ!香奈も付けるから!」

「そうだね。ありがとう。」



鞄にストラップを付けたあと、図書室に向かった。最近ますます本を読むのが楽しいから、やっぱり読書の秋は間違っていないのかもしれない。お昼休みはここにいることが多い。そして私の他にも常連客が何人かいる。もしかしたら私も同じように思われているかもしれないけど、それを互いに確認し合うことは絶対にない。