こっちに戻ってきてから約2ヶ月たった。
ようやくクラスの人の名前も覚え、近づいてくるのは文化祭。
クラスの親睦を深めるための大切なイベント。…らしい。
ただ今何をするかの話し合い中。
「ねー、なにか意見ないー?」
「皆何でも良いわけ?」
文化委員の二人が代表として頑張っているが、意見は一つも出ていない。
まだ知り合ってから間もない。
そんな人たちの前で発表する勇気は皆ないようだ。
これじゃあ親睦は深まるどころじゃない、悪化するばかりだ。
「こういうとき里美がいてくれたらね。」
「確かに里美ちゃんなら上手くまとめてくれそうだよね。」
そう、里美は今日風邪でお休み。
きっと里美がいたら、良い意見を出してくれただろう。
「ちょっと、本当に適当にするよ?!」
あまりの意見の言わなさに二人は怒る。
これ以上は喧嘩になりかねない。
あまりこういうのは得意じゃないけど、こんな雰囲気はすごく嫌いだ。
私はゆっくりと手を挙げた。
「多野さん?」
皆の視線が一気に私に集まる。
こっちを見ないでほしい。
と思っても仕方がないか。