王宮暮し

歩いていると、前からジルがやってきた。

「おはよ。」

「おはよう」
と、私は目を見ないで返した。

さすがに目など合わせられない。

そのまま通り過ぎようとした

その時、いきなり後から引っ張られた。

「おい」

「っきゃ」

私は驚いてジルの顔を見上げた。

目があってしまって、目を少しだけ伏せた。
「朝からなんだよ。そんな顔しやがって」

もともとは、ジル。あなたせいなのよ?

「なんでもない…よ」

「なんかあったのか?」

「なんで、そんなこと聞くの?」

「なんでって。朝食もとってないって聞いたし…」

なんで、今日はそんなに優しいの?

「大丈夫だからっ」

私は、今出来る精一杯の笑顔で言った。

「そうか」