耳が痛くなるほどの静寂。
穏やかな水の流れる音が聞こえてきた頃。
あたしの思考回路はようやく動き出した。
あたしは、どのくらいこの状態でいたのだろう。
目の前が真っ暗になり、音が消え、思考が停止した。
「お母さん……?あたしが?……隼斗の?」
そんなわけ、ないよね?
あたしの弱々しい声が宙をさまよった。
「じゃあ、隼斗のお父さんは?誰なの……?」
「俺の苗字は、高橋……だよ」
高橋って、もしかして……
「冬馬……?」
隼斗はゆっくりと瞬きをしながら、何も言わずにうなづいた。
冬馬が、隼斗のお父さん?
そして、あたしが将来結婚するはずだった相手?
全然頭が追いつかない。
いや、頭がフル回転してるのかもしれない。

