隼斗の家は、ごく普通のどこにでもいるような家族だった。
───それがある日、突然壊れた。
「会社を……クビにされた!?」
それは隼斗が中学3年の時。
「これからの生活どうするのよ!?子供たちもいるのよ!?」
夜中のリビング。
トイレに起きた隼斗は偶然、2人の話し声を聞いてしまった。
というよりは、お母さんの焦ったような切羽詰まった声。
会社をクビにされた……?
お父さんが?
隼斗は、リビングのドアの影に隠れ、聞き耳を立てていた。
「俺だって……好きでクビにされたんじゃねぇんだよ!」
それまで黙っていたお父さんが急に怒鳴り出した。
静かな空間に不釣り合いな大きな声。
その声に隼斗の肩が跳ねた。
隼斗はどうすることもできず、その場をそっと離れた。

