「渡そうと思って渡せなかったことは、ある」
今は、誰を思い浮かべているんだろう。
思い出を懐かしむように、穏やかに笑った。
「あたしにそんな勇気なかったんだよね」
「……それって中学のとき?」
もしかしたら、あたしの知ってる人かな?
美月と仲良くなったのは高校入ってからだけど、同じ中学に通ってたから。
何気なく聞いたつもりだったけど、美月は黙ってしまった。
そして一言。
「後悔、しないようにね」
それだけ言って口を閉ざしてしまった。
聞いちゃいけないところに踏み込んだかも。
チラッと美月のほうを見たら、「できたー!」とラッピングを終えた袋を掲げて笑っていた。

