顔だけこっちに向けて、にぱ、と笑った夏芽。




「お前、昔からいっつもそれだもんな、」





「えっへん!なんてったって奏ちゃんリスペクトしてますから!」





...奏(かなで)、というのはうちの母で。






夏芽のお母さん…冬架(とうか)さんと、うちの母親は高校時代からの大親友だそうで、





家もとなり同士、結婚式も同じ月、しかも出産、つまりは俺達を産んだ日まで一緒なのだ。





...まあそんなんだからもの心つく前から俺と夏芽はずっと一緒で。






アルバムの写真、必ず毎ページには夏芽がひとりふたり。ムービーだって、卒園卒業アルバムだって。





しかも幼稚園から中3までずっと同じクラス、切っても切れない腐れ縁幼なじみなのだ。








...夏芽の親は、共働きで。家を空けることが多かった。





いっつも無駄に広い一軒家にぽつんとひとり。そんな夏芽を、俺は毎日家に読んでいた。





その時決まって出てきたのが俺の母が作ったチョコケーキ。






夏芽曰く、そうちゃんの思い出も、奏ちゃんの思い出も、全部詰まっててだーいすき!だそうだ。