「ねえ、あなた…もしかして難聴なの?」
そういえばさっきも、会話がゆっくりだった。朝も。
坂井さんは、頷いた。
「たしかに、桃ちゃんは耳が悪いけど、補聴器をつけているから会話できるよ。」
「そう。」
坂井さんは、笑顔で近づいてきて
「朝はありがとう。桃子です。よろしくね。」
と声を出した。
とっても可愛い声。
「よろしくね、桃子。補聴器つけてるみたいだけど、話すのは結構疲れるでしょ?」
「え?」
「桃子が手話できるなら、そのほうが楽に会話できるんじゃない?」
桃子はかなり驚いた様子で目を大きく見開いた。もともと大きな目をこれ以上大きくして、どうすんのってくらい。

