少しずつ後ろに下がり、助走をつけてアオイが走り出す。

アオイッ!


ボールは緩やかな弧を描き、まるでゴールに吸い込まれるようにゴールネットを揺らした。

ヤッタ!!

思わず駆け出す。
アオイもこっちへと、最初はゆっくり。そしてだんだんと駆け足で私に向かって走ってきた。

「ハァハァ・・アオイ・・ハァ」
「おうっ」
私は右手をあげ、アオイとハイタッチ。
バシっといい音が鳴って、ふたりともニッコリ笑う。

「すぐ着替えてくるから、ちょっと待ってて。一緒に帰ろう」
「うん」
汗と
砂埃と
太陽の匂いをその場に残し、
アオイはスパイクを鳴らしながらすぐにグラウンドへ戻って行った。



―――緒に帰ろう―――

なんて、いい響き。