「辰実ー!これどーぞ」

「ありがとう……手紙って珍しいな」

坂尾と海野 辰実(うみの たつみ)は違うクラスなので廊下で話す。手紙と聞いて、周囲は影飛脚じゃない!?と言い始める。ランキングには協力者の知名度も関係してくる。

「これ……!」

「もらったの、土曜日空いてるでしょ。一緒に行かない?」

「行く!ありがとう!」

あいつがずっと行きたがっていたのは知っていた。二人はどのアトラクションにするかで盛り上がる。

「うわー!麻矢ちゃんたちタコマ行くんだって!」

タコマとは、最近できたショッピングモールだ。タコマと聞いて注目はそっちに動いてしまった。

やられた!

朝霧 麻矢(あさぎり まや)の側にいる関東が笑う。反対に、坂尾が睨んでくる。

「おれ、こっちの方が行きたかったし、周りなんて気にすんな!」

明るい笑顔でフォローする。坂尾は微笑んだ。
しかし……私は周りを気にしなければいけない。