明け方ー営業時間終了後。

ミーティングして、掃除して終了した。

「命、この後みんなでカレーでも食いに行かないか」

梨王が誘ってきた。

「カレーですか?いいですよ」

「俺んちが洋食屋なんだ。カレーがウチの自信作なんだ」

常にナンバー上位で梨王のライバル・雨音(あまね)が声をかけた。

雨音は生まれは神奈川だか、家族が新宿に引っ越してきて洋食屋を始めた。

長身で充というミュージシャン似の美形だ。

みんなで明け方の歌舞伎町を歩き、雨音の家に向かった。

オムライス屋『はしもとや』

ここが雨音の家が経営するお店だった。

「みんな入って」

雨音は誘導した。

「ただいま」

「おかえり、武。あら、今日はみんなも一緒なの。おはよう」

雨音の母・聡弥(さとみ)が挨拶した。

そして、奥から雨音の父も出てきた。

そして同じく挨拶した。
「みなさん、ゆっくりしていってください」

雨音の父親は生まれたときから身体に障害を持っていた。

大学で経営学を学び、主席で卒業してこうして店を出すようになった。

雨音は曲がったことが嫌いな父親を尊敬し、子供のときから進んで店を手伝っていた。

武(たけし)とは雨音の本名だ。

「どれにしようかな」

席について、真実はメニューを見ながら、迷った。

「ここはオムライス屋だけど、カレーとハヤシライスがオススメなんだ」

雨音は推薦する。

真実はカレーを食べてみることにした。

そして、みんなカレーを食べながら、客の噂話とか楽しく雑談していた。

「そういえば、どうして誠也といういい名前があるのに源氏名・月登にしたんですか?」

真実は誠也に質問する。

「俺が入ったころ、貴教さんがせいやという名前だったから、それで被るから俺が月登になったんだ」

説明した。

その貴教(たかのり)は新人時代、冬理と売上を競い、みごと冬理が勝ち新人賞を持っていかれた。

今も二人は良きライバルだ。

貴教は今や送り指名No.1で、送りの神となっている。

ちなみに送り指名とは初めて来た客やフリーの客が、帰るとき外まで送ってもらうホストを決めることだ。