真実はしょげている美乱のために一曲弾いてあげた。

演奏が終わり、ピアノに感動した美乱は語り出した。

「曲もよかったけど、命の優しさにドキッとしたな。変な意味じゃないけど。あの気配りにあの笑顔で一曲弾くなんて言われたら、もう女だったら、イチコロだよ。何でプレイヤーじゃなかったんだろ。ねぇ、梨王さん」

美乱は梨王を見て言った。

「俺、プレイヤーなんて出来ないよ」

片手で首に彫ってある竜のタトゥーをおさえながら言った。

珠利にしか触らせないという気持ちでいっぱいだった。

美乱たちと話していたら、そこへ新潟出身で天然キャラ・譲(ゆずる)がコースターを持ってきた。

「命、この曲いますぐ、弾いてもらっていいか。」

曲名が書かれたコースターの裏を見せた。

「いいですよ」

真実は快く引き受けた。

「よかった。このお客さん、もうすぐボトルの中身がなくなりそうだから、残りわずかな酒を飲みながらこの曲聴いたら、帰ると言ってるから」

譲は歌舞伎町1といわれたお人好しホストだ。

とにかく、お客さんの金銭状況に気を使ったりして、そのお人好しが災いして売れないホストのままだ。

「おい、譲。その曲をもう少し後にして、その間にボトルを減らして、新しいボトル入れさせたらどうやねん」

梨王は指摘した。

「だって、あのお客さん、お金が大変だから…」

「梨王の言う通りだ。何で、おまえは毎晩毎晩、人が良すぎるんだ!!」

ひなたが小言をいいだした。

「いやだな。また攻撃が始まった」

説教されても開き直り、またお人好し営業をする。

それが“お人好しの神”譲だった。

常にマイペースでせっかくイケメンで痩せマッチョだが、格好はコジキみたいだと評判だ。

古着とかをよく着ているうえに黒髪でホストらしくないようだ。

『ラブストーリー』にはさまざまな神がやどっている。

“全体的な神”梨王

“お人好しの神”譲

“爆弾の神”美乱


他にはヘルプの神、送りの神などもいる。

ちなみに月登(誠也)は下ネタが得意なので“下ネタの神”と呼ばれている。

ハナミチもいつか真実が“音楽の神”になると期待していた。