(───いや、だからか。)
あいつが……柑奈と同い年だから、
こんな風に思うのか。
俺は自分のこの気持ちの原因を
突き止めたような気がして
また、小さく息を吐いた。
「………かっこ悪。」
年下相手に焦って
明らさまに態度に出すとか
本当にかっこ悪いな。
俺はそんな風に自己嫌悪に陥りながら
その場からゆっくり立ち上がる。
とりあえず仕事は全うしよう、と
カウンターに戻って
テーブル拭きに専念した。
その後は食器やら器具やらの洗浄と
片付けを無心にこなす。
そんな俺の様子を見て
店長が疑問そうな声で
俺に尋ねてきた。
「……勇、今さっき 何かあったのか?」
「…え…。」
「さっきまで機嫌良さそうだったのに 今は何か浮かない顔してっからよ。」
だからちょっと気になっただけだ、と
店長はそう言って
食器の片付けを手伝ってくる。
俺は静かに「いえ何も。」と答えて
さっさと食器を全て片し終えると、
そのまま作業着を脱いで
私服に着替え始めた。
(───早く消えろよ、この感覚。)
未だに消えない
うっすら残った胸のモヤに
俺は少しだけ 苛立ちを覚える。
これまでに起こったことのない
こんな感情に、
俺は自分でも戸惑うばかりだった。
───冷静でいたいのに、我慢出来ない。
一体どうすりゃいいんだよ。

