「北澤こっち側に住んでたんだ?
中学どこ行ってたの?」
「うん。
えっと、西中だよ。」
「え!俺 南中だよ!」
私の答えに要くんは目を大きく開けると
驚いたような声で
私にそう言う。
私も要くんの答えに驚いて
思わず「え!」と声を上げた。
西中学校と南中学校は
この地域の公立中学校で、
場所も近く、
その区域に当たる小学校の友達何人かが
丁度そこに入学している。
「西中に唐木って男女の双子いたでしょ。
俺その2人と幼馴染なの!」
「あ、そうなんだ!
私その妹の方と仲良いよ!」
「本当に!
じゃあ今度会った時北澤のこと聞いてみよ。」
意外な共通の話題が見つかって
地元トークで盛り上がる。
お互いの小学校の友達の
中学での生活ぶりを言ったり聞いたり
面白いエピソードなんかを聞いて
2人で歩きながら笑った。
「要くん、それは冗談でしょー!」
「いやいや本当!
あいつ本気で言ってたからそれ!」
「本当にー?」
そんな風に話して
お腹を抱えながら歩いていると
ふと
見慣れたお店が目に入って
私はそこに視線を止める。
いつの間にか
あのラーメン屋さんの前まで来ていたらしい。
───そして
「……あ……勇さん…!」
「!……柑奈?」
お店から丁度出てきた
彼の姿を その目に捉えた。

