「…要くんありがとう。
髪型迷ってたから、すごく助かる。」
「どういたしまして。
って言っても、ただの俺の好み言っただけだけどね。」
そう言うと 要くんは小さく笑いながら
また私に優しい笑顔を向ける。
そしてやってきたエレベーターに
2人で入り込むと
静かに扉が閉まった。
その時に私はあることを思い出して
それをまた、要くんに尋ねる。
「あ、ねぇ要くん。
その花火大会のことなんだけど…。」
「ん?何?」
「その近くにある海への行き方って
知ってたりする?」
私がそう尋ねると
要くんは「海?」と少し驚いたように目を丸くしながらも
少し考えてから
「…あ。」と声を出した。
「そういえば前に 何回かだけど、行ったことあるや。」
「え、本当?!」
「うん。
そこに行きたいの?」
要くんは私を見ながら
そう尋ねてきて
私はそれに コクッ、と頷く。
「俺が行ったのは裏道からだから、
大通りとかからの行き方と違っちゃうけど それでも良い?」
「うん、教えて欲しい!」
そう言うと
要くんは私に「分かった。」と返事をして
エレベーターの表示を見上げた。

