(……………え…?)
私は勇さんがそう言ったのを聞いて
プツ───と 思考が停止する。
そんな私を見ながら
勇さんは言葉を続けた。
「昨日店長から浴衣貰ってな。
ちょうど良い機会だと思ってよ。」
「………。」
「まぁお前受験生だし、
忙しいなら別にいいけど。」
「………。」
「………柑奈?」
───!!
勇さんに名前を呼ばれて
私はハッとしたように前を向き、
意識をはっきりさせる。
は、花火大会……勇さん、と………。
(……ほ、本当に勇さんの方から誘われてしまった……っ。)
嘘でしょ。
え、嘘だよね?
…ん?これ嘘?
……あ、夢とか?幻聴幻影?
予想外の出来事に
頭がいっぱいいっぱいになっていて
段々と混乱してくる。
「…別に気使う必要無ェからな。
無理なら無理でいいし。」
「っ、いえあの…!!
よ、喜んで一緒に行きます…っ!」
しかし、目の前の勇さんを見て
夢じゃないことを確信すると
私は慌てて頭を縦に振って、
ブンブンと揺らしながら そう答えた。
それを見て
勇さんはゆるく口角を上げると
「…どーも。」と返事をして
小さく笑みを零す。

