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「………悪い、待たせた。」
「あ、いえ!全然大丈夫です!」
あれから 閉店の時間を回り
お店の片付けを終えた勇さんが
着替えて奥からやってくる。
そして私にそう言うと
勇さんは疲れた体を休めるように
私の隣の椅子へ ボスッ、と座った。
「…………そんで話ってのが…。」
「あ、はい。何ですかお話って?」
勇さんが本題を切り出してきたので
私はそれをちゃんと聞こうと
勇さんの方へ体を向けて ちゃんと向き合う。
勇さんはそんな私を見ながら
カウンターのテーブルに顎肘をついて
そして…静かに口を開いた。
「………14日の夜って何か用ある?」
「…え……14日…ですか。」
「そう。」
私の言葉に勇さんが頷いて
ジッと---私の方をまっすぐ見てくる。
私は勇さんの言葉に
思わず目を見開いた。
(────14日って……。)
私はその日付を 頭で復唱する。
今月の14日───
間違いない。
その日はまさに 花火大会の日だ。
(………え、これってまさか……っ?)
─────なんて
一瞬幸せな脳が働いて
そんなことを考えるけど
すぐに、現実に思考が戻る。
まぁ、そんなこと起こるわけないよね……
私がそう思いながら
「空いてますよ。」と勇さんに答えると
勇さんがそれを聞いて
静かに───口を開いた。
「………ならさ、花火大会行かね?」

