「…なぁ。」

「はい?」

「…そろそろその敬語、やめろよ。」










そしてお店に向かいながら

不意に勇さんが、私へそう言う。







私は隣の彼を見上げて
「え?」と小さく彼に聞き返した。











「…付き合ってんだから、もう敬語じゃなくていいんじゃねぇの?」

「…あ……。」











───そういえば、確かに。








いつの間にか癖になっていた敬語に
私は今更気が付いて



こちらを見る彼を見上げて、小さく頷く。









そっか……






もう、敬語じゃなくて…良いんだよね。











「うん…そうするね。」

「…ん。」











私がそう答えると


勇さんは優しい笑顔を浮かべて
いつもの短い返事をした。










…また少し、彼に近づけた感じがして




私は少し 嬉しくなる。











「……柑奈。」

「ん?」

「……夏は、こっち来いよ。」











そんな風に思っていると

勇さんは歩きながら私にそう言ってきて





私はそれに頷きながら
「…うん。」と返事をして


彼と繋ぐ手を ギュッとさらに握った。















────春休みは、あと1ヶ月。









この休みが終わったら

また3ヶ月くらい 会えない日が続くけど…








今度は私が、貴方に会いに行くから。












「今年の夏は、また2人で花火見ようね。」

「…あぁ。」












だから今は───貴方を甘やかさせてね。

















【Because I miss you.】END*