「あ、勇さんお昼どうします?
新幹線で食べました?」

「いや、まだ食べてない。」









どっかで食べるか、と

勇さんは辺りを見渡しながらそう言って
私に何が食べたいかを聞いてくる。







私はこの近くに良いお店を知ってると言って

彼をそこへ案内した。










「洋食屋さんなんですけど、
グラタンとかナポリタンとか美味しい料理がたくさんあるんです。」

「へぇ…。」

「だから、いつか勇さんと来たいなって思ったんですよ。」










私がそう言うと
勇さんは私をチラッと見ながら



どこか嬉しそうに「ふーん。」と言って


私の手を握る手に少し力を込める。







言い方がぶっきらぼうな彼だけど


声色や態度で
嬉しそうなのが伝わってくるから…





それが余計に愛おしい。









「ふふ。」

「…何笑ってんだよ。」

「別に何も。
ただ可愛いなぁって思っただけです。」










私がそう言いながら
クスクスと小さく笑っていると




勇さんは少しムスッとした様子で
再び拗ね始め



「可愛くねぇよ。」と

不機嫌そうな声で私に言った。







私はそれを見ながら 再びクスクスと笑う。










「ふふ、はいはい。」

「…お前絶対反省してないだろ。」










私の態度に勇さんはそう言うと
不機嫌そうに顔をしかめて、


グッ---と 急に顔を顔を近づけてきた。










(っ……わ……!)









私は思いもよらないその行動に



思わず小さく息を飲む。