「っ……ゆ、勇さん!」

「!」










改札の向こうへ
私がそう彼の名前を呼ぶと




こちらに向かってきた彼がそれに気がついて

パッと、顔を上げる。








そして私の姿を見つけると



少し足早に
改札を抜けてこちらにやってきた。










「勇さん、お久し振りで---って、イタ!」

「………。」










私がそう言って彼に挨拶すると



勇さんは何やら少し拗ねているようで

ちょっとだけ機嫌が悪く






こちらへ来るなり私のおでこを
ツンッ!と、強めに指先で突いてくる。







私はそれに驚いて


おでこを押さえながら
勢いよく、彼を見上げた。










「な、何するんですかぁ…。」

「…ったく、遠いんだよ。」










私が彼を見上げると

勇さんは拗ねたまま私にそう言ってきて



そして更に、私の頬を片手で挟む。







むーっ、という効果音が似合いそうな顔にされながら


仕方なく彼の満足いくまで
その状態でいると






少ししてから黙っていた彼が


私の頬から手を離して
ギュ---と、不意に強く 抱きしめてきた。










私はそれにも少し驚きながらも

ゆっくりと、こちらからも彼の背中に手を回して



彼の気持ちに 応える。










「……久しぶり。元気そうで良かった。」

「…はい。勇さんもお元気そうで。」










そう言いながら


久々の再会を2人で嚙みしめあって
少ししてからまた離れた。








それから自然に
2人で手を繋いで



駅前を離れるように 歩き出す。