「───っ、柑奈!!」











そう叫んだ彼の声が




私のすぐ近くで 確かに響いて








それから暖かい何が───静かに、私を包み込んだ。














(………な、んで……)













何で、どうして───













言葉として出すことができないその言葉が

私の頭の中を巡って







そして同時に


確実に感じる誰かの温もりの存在と感触を自覚していて───













───何が、一体、どうなっているの。













「はぁ、はぁ……っ。
………やっぱり…ここにいた…。」

「っ……。」













───この現実から
早く逃れたいと思っているのに






それとは裏腹に



耳元で感じる彼の息遣いと

彼の声に





私の体は 確かに反応していた。










……心臓が高鳴って、止まらなくて、








息が苦しくて、胸が苦しい。