(………忘れるの……忘れ、なきゃ……。)










───そうしないと、お互いにずっとこのままだ。









彼が私を忘れて

愛理さんと幸せになるためにも








私は……彼を諦めなきゃいけない。









私はそう思い

静かにその場で目を瞑って
空を見上げる。













………置いていこう、全部。











(過去の思い出も、私の気持ちも…
何もかも 全部───。)













───全部ここに、置いていこう。










そう思いながら


私は目から涙を溢れさせて






静かにそれが 頬を伝って流れる。






















「───っ、柑奈!!」





















それなのに





そう決めた ばかりなのに












(なのに……どうして………っ?)











そんな時に限って



神様はいつも意地悪で。












そう聞こえたと同時に







背中に何かが、勢いよく覆いかぶさる。














(っ……、ぁ………っ。)













この背中に感じる鼓動は




一体、何───?