…俺はその場に立ったまま
金田の歩いて行った方向を眺める。
───本当に全部、金田の言う通りだ。
諦めたと思ってた気持ちが
『あいつ』を見た瞬間に一気に蓋が外れて
自分でも信じられないくらい……心が震えた。
会いたくて会いたくて、仕方なかった。
声が聞きたくて仕方なくて
顔が見たくて仕方なかった。
そんな本音がボロボロ出てきて
気づいたら、止まらなくなっていた。
(……結局、俺にはできなかった。)
───柑奈を、忘れることなんて。
柑奈を……あいつを諦めるなんて
そんなこと 出来やしないんだ、俺は。
『…怪我は?』
『…あ…だ、大丈夫です。』
───初めて会ったあの日
あれは…きっと、一目惚れだったんだ。
初めて会った時から
俺はきっと…あいつのことが好きだったんだと思う。
それを…あんな
あんな納得のいかない別れで
諦められるわけが無かったんだよ───。
(………悪い…金田…。)
お前に言われて
やっとちゃんと 自分に向き合えた。
「───俺は……」
俺は………柑奈が好きだ。

