「………。」
「…言い返さへんってことは図星やん。
他の女と居んのに、ええ度胸やな。」
「……悪い。」
「………進藤くんはずっとそうやんな。
いつも私と居っても どこか上の空で…」
金田は俺を見ながら
怒った顔をしているのに
泣きそうな目をして、
だけど絶対泣くもんかと
涙を我慢してこちらを見る。
「柑奈ちゃんがここから居なくなってから
私やって…しばらく進藤くんと距離置いたやんな?」
「………。」
「それからまたこうやって会うようになって……私嬉しかったよ。」
「………。」
「…あの日の告白が無くなっても、一緒にいられるんならそれでええと思ってた。」
金田は 手に持ってるバッグの持ち手を
ギュッ---と強く握りしめながら
自分の気持ちを
力強い口調で 俺に告げてくる。
…俺だって忘れたわけじゃない。
金田から言われたことは…
『あの日』のことは、ちゃんと覚えてる。
「でもあんた……あの子がいた時も、いなくなった時も いつも…あの子のことしか見てないやん。」
「………。」
「私と居る時すら、私のこと見てなかった。
……本当に失礼な男や、あんたは。」
「………悪い。」
「謝んなや。
…こっちが惨めになるやろ。」
金田はそう言いながら
今度は呆れたように笑って
そう俺に、言葉を吐き捨てる。
強がってるけど
こんな時の金田は結構傷ついてるってことを…俺は知っていた。

