「あ、あの、勇さ…!「おーい兄ちゃん!こっちに餃子追加でー!」
「あ、まいどー。」
しかし
現実はそう甘くはない。
こういう時に限ってこんなことが起こる。
お客さんの注文の声がかぶさって
消えてしまった私の言葉。
そして
勇さんはそのお客さんにそう返事をすると
伝票に注文を書き入れて、
仕事モードにきっちり切り替えると
そのまま 厨房の奥へと行ってしまった。
私はそれを眺めながら
はぁ…、とため息を吐く。
(…うん、分かってたよ……うん…。)
私は心の中でそう呟きながら
落ち込む自分の気持ちを励ます。
そして
そのままチケットを制服のポケットに入れて、カウンターの机に突っ伏した。
───大丈夫、まだチャンスはある。
私は勇さんの仕事をする姿をチラッと見て
それからまた 目を伏せる。
(仕事が落ち着いた頃に
また勇さんに言えばいいよね…。)
私はそう思いながら
しばらく
そのままお店の様子を伺った。

